盛土と切土の違いと安全性を確かめる方法をわかりやすく解説
造成って言葉、聞いたことないでしょうか?
一口に造成と言っても、土地を平にする整地から、森林を伐採したり、農地や河川の埋め立てなどさまざまな造成方法がありますが、
今回解説するのは主に宅地造成といって、住宅を建てる際に整地する造成工事のこと。
宅地造成を行う際によく耳にする、「盛土(もりど)」や「切土(きりど)」。
そこで気になるのが盛土と切土って何が違うの?
ということで今回は、
- 盛土と切土の違い
- 住んでる(住もうとしている)地域(土地)の安全性を確かめる方法
についてお伝えしていきます。
盛土と切土の違い
盛土と切土は何がどう違うのでしょうか?
その前に宅地造成について軽く触れておきます。
家を建てる際、地面が必ず水平であるとは限りません。
そもそも日本は7割が丘陵地帯と言われています。
そのため傾斜になっている土地も多いのです。
そこに住宅を建てていくためには、平坦にする必要があります。
このことを「宅地造成」と呼んでいます。
そして、宅地造成に必要になってくるのが「盛土」や「切土」呼ばれる工法。
順番に解説します。
盛土とは
盛土(もりど)、または盛り土(もりつち)とも言います。
盛土はその名のとおり土を盛ることです。
盛土には、斜面を平らにするために土を盛って整地する腹つけ型と呼ばれるものと、山の谷間部分を埋め立てる谷埋め型と呼ばれるのがあります。
切土とは
切土(きりど)とは盛土とは対象的に土地を削り取ること。
傾斜した土地を切り取って平に整地すること。
このようにどちらも土地を平らにするという目的は同じです。
両者の違い
出典:Allabout
まずは上記の図を見てもらいましょう。
元の地形を平にするために、土を盛っている箇所と、土を削っている箇所があるのがわかります。
どちらも土地を平らにするという目的は同じなんですが、決定的な違いがあります。
それは強度。
盛土はやわらかく、細かな隙間や砂利などさまざまな物質が含まれていることもあって、どうしても強度的に劣るのです。
対して切土の場合は元々あった地盤のため、盛土と比較してもよく締まっていて強度的に強いと言えます。
なのでやわらかい盛土の上に家を建てた場合、大雨や地震の際に地盤が動いて土砂崩れや地崩れの恐れがあります。
もちろん、盛土でも強度を出すためにローラーで転圧をかける締固めと呼ばれる工法や擁壁で補強するなどさまざまな工夫がされているのですが。
とはいえやはり盛土は切土に比べて強度的には弱いと考えていいのではないでしょうか。
それに盛土は年月とともに沈下圧縮してゆくので安定するまで数年から場合によっては10年ほどかかると言われています。
宅地造成したまま家を建てず、長い間放置している光景を目にしたことがないでしょうか?
あれがまさに盛土が沈下して安定するのを待っている状態なのです。
ただし最近ではコスト削減なのか、すぐに家を建てることのほうが多いようですが。
理想は最低でも1年ほど放置して、地面が安定するのを待ってさらに地質調査してから家を建てるというのが理想でしょう。
住んでる土地の安全を確かめる方法
今あなたが住んでるその土地が盛土なのか?切土なのか?
気になりますよね?
特に山間部や丘陵地域にお住まいの場合は。
以前は、住んでる場所が盛土なのか切土なのか確かめる方法がなかったのですが、東日本大震災以来、自治体によって各地域の調査が進められているそうです。
とは言ってもまだまだ調査途中の所も多いので、各自治体での確認が必要ですが。
それでは今お住いの土地や周辺地域が盛土か切土か確かめる方法を紹介します。
注意ポイント
- 大規模盛土造成地マップを活用
- 自治体に問い合わせる
- 過去の災害事例を調査する
3000㎡以上造成した土地や、高く盛土造成した土地のことを大規模盛土造成地と呼びます。
このような大規模な工事をする際は必ず都道府県知事による許可がいるため、記録としても残っていはずです。
それにそのように大規模工事をした土地の場合は、厳しい強度審査基準をクリアしているはずなので比較的安心かとは思います…しかしながら全くリスクがないわけじゃないので、出来ることなら住みたくないというのが正直なところですが…
ただ、生まれ育った家や、親から譲り受けた土地を有効活用したい場合など、その土地にこだわりがあってずっと住み続けたいと思うなら、どこかのタイミングでしっかり地盤を調査して、いつか建て替える時はしっかりとした地盤改良工事や、基礎杭の工事で補強したいところです。
最後に付け加えるなら、丘陵地域や山間部に住んでる場合、もし自分住んでる土地が切土であったとしても、大雨や地震の際、自分の家よりも上にある土地が盛土だった場合土砂に巻き込まれる危険があります。
そんな時は切土だから大丈夫と考えずに、自治体の支持に従い適切に避難するようにしましょう。
まとめ
今回は「盛土と切土の違いと安全性を確かめる方法をわかりやすく解説」と題して、盛土と切土の違いをまとめてきましたがいかがでしたか?
地球温暖化に伴う豪雨や台風、そして今が活動期と言われる地震など、我々は常に災害と隣り合わせで暮らしています。
毎年のように大雨や台風による被害がありますが、注意深く観察することと、少しの危機感を持つだけで回避出来ることも多いのではないでしょうか。